こんにちは。市川えり(Twitter| Instagram)です。
『結婚したら夫の扶養範囲内で働きたい』という女性はとても多いです。
女性の社会進出の機会が増えたとはいえ、まだまだ日本では妻が扶養を外れること=損という図式が根強くあります。
子どもを預けられなかったり、何らかの理由があって働けない事情がある人にとって扶養はとてもありがたい制度です。
働くのに恵まれた環境にいるけれど、それでも扶養範囲内で働くという選択もアリです。その人の人生なのですから。
だがしかし、です。
働ける環境にあるのに「扶養を外れるのは損!」と頭ごなしに決めつけて仕事をセーブすることは本当に得なのでしょうか?
起業して世の中に価値を提供したり社会をよくしようとしている人が扶養を外れるリスクばかり気にするというのは本末転倒ではないでしょうか?
そもそも扶養の制度をしっかりと把握してその上で扶養範囲内で働くという選択をしている人がどれだけいるでしょうか?扶養を外れるといくら損になるのか?どのようなメリット・デメリットがあるのか?
このカテゴリーでは、複雑怪奇ともいえる扶養の制度としくみについて少しずつひも解いて理解できるように書いていきたいと思います。
ぜひ扶養についてしっかりと理解したうえで扶養範囲内で働くか扶養を外れて稼ぐかの判断をしていただけたら、と願います。
このブログでは扶養する側を夫、扶養される側を妻として説明しております。ご了承ください。
4つの扶養
103万円の壁・106万円の壁・130万円の壁…。
扶養について語られるとき、このような数字がひんぱんに出てくるのを目にしたはずです。
じゃあ自分はいくら稼いだら扶養を外れるの?という声が今にも聞こえてきそうです。
さらに所得で〇〇円・総収入で〇〇円など、数字や制度に苦手意識を持つ女性にとってはできるなら見なかったことにしたい!と願うことでしょう。
このようにたくさんの数字があるのにはワケがあります。
扶養とひとことで言っても実はその内容は4つの種類に分かれており、その4つそれぞれに一定の基準があります。
その4つの種類と基準をすべて一緒くたにして考えてしまうことが混乱のもとなのです。
以下でその4種類の扶養についてまず簡単に説明しています。詳細については随時更新していく予定です。
税金
『税法上の扶養』と定義されているのが配偶者控除と配偶者特別控除です。
配偶者控除はかつて”103万の壁”とも呼ばれていたので、ご存知の方も多いと思います。
これは、『納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられる』というもの。
簡単に言うと『納税者(夫)に収入の少ない配偶者(妻)がいる場合、納税者(夫)の税金が安くなる』ということです。
どれだけ納税者(夫)の税負担が軽くなるかは、夫や妻の年収(所得)によって変わります。
国税庁のHPより
健康保険
社会保険の扶養のひとつである『健康保険の扶養』
被保険者との関係や同居の有無、本人の収入によって加入条件がありますが、扶養家族と認められれば
- 被扶養者が何人でも保険料を支払うことなく健康保険証を発行してもらえる
- 健康診断や予防接種をお得に受診することができる ※加入している健康保険組合の規定によります
などのさまざまなメリットがあります。
パートで働く妻の給与収入が130万円を超えると扶養から外れるのが一般的です。
扶養から外れると、妻本人が国民健康保険または妻の勤務先の厚生年金に加入しなければなりません。
なお起業している妻の場合は年収130万円とは限らず、外れる条件が異なる場合があります。
条件は夫の健康保険組合の基準に従うことになりますので確認が必要です。
年金
健康保険と同じく社会保険の扶養にあたる『年金の扶養』
会社員や公務員などの第2号被保険者の配偶者(ここでは妻)は国民年金の第3号被保険者となり、国民年金保険料(平成30年度で月額16,340円)を納めなくてもすむようになります。
ちなみに自営業の夫の妻は第3号被保険者には該当せず、第1号被保険者となるので国民年金保険料の納付が必要です。
日本年金機構のHP
手当
主として家族手当や扶養手当などに代表される、会社から支給される給与の一種のこと。
各会社の就業規則に基づいており、どういう条件下で支給されるかは会社によって異なります。
よって必ずしも支給されるわけではありません。
支給されている場合は夫の給料明細書に記載があるはずですので、確認してみてください。
一般的に妻のパート収入で103万円、起業している妻の場合は所得38万円を超えると支給されなくなる場合が多いようです。これも夫の勤務先の会社に確認しておきましょう。
扶養について調べる時に気をつけるべきこと
扶養といっても4つの種類に分かれていることがなんとなくお分かりになったでしょうか?
103万円・130万円などの扶養に関する数字は混同して考えがちです。
まったく違う基準の数字であるということをまず認識してください。
ネット上には何年も前に改定された法律や制度がいまも通用するかのように存在しています。
情報収集時は聞きかじったウワサを自分なりに解釈してしまうことのないよう、じゅうぶんに気をつけましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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【参考】税についての相談窓口 国税庁