こんにちは。市川えり(Twitter| Instagram)です。
資格取得のための受講料や名刺・チラシの作成、WEBサイト構築に人脈づくり…。
開業準備をはじめるとあれこれとお金がかかります。
でもこのお金、どのように処理すればいいのかご存知ですか?
『いやいや、開業前だから経費にできないでしょう?』
という人も中にはいらっしゃると思います。
結論から言うと、その費用は後々計上することが可能です。
ですから、レシートや支払いの証明になるものは捨ててはいけないんですね。
ではその処理はどのようにしたらよいのか??
この記事では開業前の費用である開業費についてご説明させていただきます。
開業費とは?
開業費とは、開業前年度までに事業を開始するために使用した費用(一部例外あり)のこと。

個人事業主として開業するために要した費用は基本的にすべて開業費として処理することが可能です。
ただし、開業費として認められないものもあります。(この記事の後半で説明します)
開業費は経費ではなく『資産』
開業費は“費”がつくため経費の一種と思われがちですが、正確には繰延資産という資産の科目にあたります。
開業時の準備費用があることで事業を継続させていくことができます。
よってその準備費用(=開業費)は開業したその年度だけではなく、その後数年に渡り必要となるもの(=資産)、というのが開業費が資産であるという理由です。
開業費は開業の前年度以前に使った費用の総称 なので現金で支払ったものもクレジットカードや銀行振込で支払ったものも全て『開業費』として一括りで処理することができます。
開業前だからといってレシートや支払いの証明となるもの捨ててはいけませんよ!

開業費の償却方法
開業費には『任意償却』と『均等償却(5年)』があります。
均等償却とは5年(60か月)かけて均等に償却すること。
任意償却は自分の好きな時、必要な時にいつでも償却(計上)することが可能です。
そのため償却方法で任意償却を選ぶと開業年に利益がなかったら全く償却せずに利益が出た年に全て償却する、ということが可能になります。
節税効果が得られやすいため、任意償却を選ぶのが一般的です。
開業費が認められる期間は?
個人事業主の場合は開業にあたって登記する必要がないため好きな日を開業日にすることができます。
そのため開業費はいつからいつまでの費用を指すのか?という疑問が浮上しますが、これは開業した年の前年度までに使った費用にすると良いでしょう。
開業年度に使用した費用は『経費』として計上します。
では開業費は何年前までの費用が認められるのでしょうか?
それは実は明確には決まっていません。
その事業を開始するために使った費用であれば何年前のものでも開業費にすることができるというのが現在の税法の見解です。
しかし10年前など極端に過去すぎるのは認められない可能性が高いので(どれだけ開業に準備かけてるの?となる)注意が必要です。
開業費にできるもの
開業前年度までに事業を開始するために使用した費用であることを前提として、以下のようなものが開業費として認められます。
広告宣伝費

チラシ・名刺・Webサイト制作費用・サーバーやドメイン取得費用
事務用品費・消耗品費

事業用印鑑や領収書、コピー用紙、その他の事務用品
旅費交通費

開業準備に関する移動のための運賃やガソリン代
研修費

資格取得のためのセミナーや講習の受講料
新聞図書費

事業に関連する書籍や資料
会議費

開業にまつわる打ち合わせやミーティング時の場所代や飲食代 【接待交際費】開業にあたりお世話になった人への贈答品やお礼の品などの代金
10万円未満の備品

仕事用のデスクや椅子、パソコンやプリンターなど。 10万円を超える備品は関して『減価償却資産』として減価償却が必要になるので開業費には含めない。
開業費として認められないもの
開業年度にかかった費用
開業した年の費用は『経費』として計上する 【10万円以上の備品】取得価額が10万円を超える備品に関しては『固定資産』となり減価償却の対象となる。
商品の仕入代金
開業後に販売するために購入した材料や商品は『売上原価』となり開業費とは区別する
敷金
退去後に戻ってくるため開業費や経費にはできない
礼金
『礼金』という繰延資産で償却するため開業費には含めない
開業前の自宅の家賃や水道光熱費
自宅サロンや事務所の場合、事業を開始する前の按分は認められない場合がある
持ち家のローン
ローンは開業後に利息部分のみ按分して計上可能(元本部分は計上不可)
認められるかどうかは必ず税務署に確認しましょう
上記に取り上げた科目についてはあくまで一般的なケースです。
状況によっては認められなかったり、個別のケースでは当てはまらなかったりすることがあります。
必ず税務署に問い合わせて確認してください。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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【参考】税についての相談窓口 国税庁