開業届を出して起業する前に使ったお金は高額になりがちですよね。
たとえば、
- 資格取得のためのセミナー受講料
- 専門書やテキストなどの書籍代
- スクールやセミナー会場までの交通費
- 受験料や合格後の登録料
- 事務用品の購入費用
- ホームページ作成費用
などなど。
チリも積もれば何とかで、結構な金額になることもめずらしくありません。
そしてかかった費用を経費として何とか計上したい!と考えている人も多いのではないでしょうか?
結論から言うとそれらは『開業費』として計上することは可能です。
しかしその前に注意すべき点がいくつかあります。
この記事では起業初期の人がどうすればいいのか悩みがちな『起業する前に使った費用』について取り上げています。
「起業する前に家計のお金からけっこう使ってしまったのだけど、どうしよう…」
とお悩みの方はぜひ参考にしていただければと思います。
起業前に使ったお金は『開業費』として計上できる
開業費とは個人事業主として開業届を提出し、事業を開始するまでの期間に発生した費用のこと。
”費”がつくので経費の一種と思われがちですが、厳密には繰延資産という資産の分類に入ります。
なぜ経費ではなく資産の部類に入るのかというのは難しくなるのでここでは省略しますが、繰延資産であるということで『任意償却』をすることが可能となります。
なので、開業費は経費としてではなく繰延資産として処理するということをまず覚えておいてください。
開業費の任意償却についてはこちら
どのように計上するの?
さて繰延資産は任意償却することが可能ですが、具体的にはどのように計上するのでしょうか。
まず任意償却するには確定申告をすることが大前提です。
そしていつ、いくら償却(計上)するかは自分で自由に決められます。
例えば、図のように開業初年度に開業費が100万円かかったと仮定します。

- 開業初年度→利益が出ずにむしろ赤字だったので任意償却はしなかった
- 開業2年め→少し利益が出たので20万円だけ任意償却した
- 開業3年め→たくさん利益が出て税金が高くなりそうだったので50万円任意償却した
- 開業4年め→残りの30万円をすべて償却した
このように利益が出た年は開業費を計上することで、支払う所得税などの税金を節税することが可能です。

開業前にかかった費用のレシートは絶対に捨てないで!
起業初期の人にお話を聞くと、開業前に使った経費のレシートは全部捨ててしまった!という人もいます。
家計のレシートと同じ感覚で確認したら捨ててしまうのだとか。
レシートは宝物と思って絶対に捨てないように心がけましょう。
銀行振り込みやクレジットカードで支払った時の記録も同様に残しておいてください。
会社員やパート等でお給料をもらっていた時は経理に関することは会社がすべてやってくれていました。
しかし起業したらすべてのことを自分ひとりでやらなくてはなりません。
特に経費に関しては正しく申告することで節税にもつながります。
まとめ
開業費について以下にまとめてみました。
- 経費としてではなく繰延資産として処理する
- 計上できるのは確定申告をするとき
- 利益が大きく出て税金が高くなりそうな時に開業費を償却(計上)することで節税効果が高くなる
- 開業前のレシートや支払いの記録は捨てずに必ず残しておく
ということを覚えておいてください。
開業費についてよく分からなくてもとにかくレシートは捨てないこと!が大切です。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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【参考】税についての相談窓口 国税庁