売上・所得・収入・利益・手取り…自分の手元に入ってくるお金の名称ってたくさんありますよね。
みなさんはこれらがどのように違うのかを説明することができますか?
お給料をもらって働いていた時は、税金に関することは会社がやってくれたのでそれほど必要ではなかったであろうこれらの単語。
個人事業主になると、突然身近になり、混乱する人はとても多いです。
今回の記事ではそれらの使われる状況や知っておいた方がいい違いをわかりやすく説明していきます。お役に立てれば幸いです。
売上と収入・利益と所得は ”ほぼ同義語”
そもそも売上とか収入など、似たような意味の言葉があるのはどういう意味があるのでしょうか。
- 売上=収入
- 利益=所得
まず初めに覚えておきたいのは、イコールで結ばれたそれぞれの言葉はほぼ同義語ということです。
同義語であるのなら一つにまとめればいいのでは?と思うかもしれませんね。
実は厳密には会計上と税法上での定義がそれぞれにあり、同義語とはいえ微妙に違うため区別されているのです。
『売上ー経費=利益』
個人事業主の所得区分は『事業所得』
個人事業主の所得(=利益)は10ある所得区分のうちの事業所得といいます。
事業所得の計算方法は【総収入金額-必要経費=事業所得の金額】
わかりやすく言うならば
売上-経費=利益
です。

国税庁HPによる『事業所得の課税のしくみ』の説明はこちら
『収入ー給与所得控除=所得』
会社員、派遣、パートの所得区分は『給与所得』
そして会社員やパートなど、お給料をもらって働く人の所得区分を給与所得といい、以下のような図式になっています。

国税庁HPによる『給与所得』の説明はこちら
事業所得と給与所得の図と見比べるとわかるように、
- 売上=収入
- 利益=所得
という関係になっているの分かります。
ちなみに給与所得控除は事業所得でいうところの『経費』にあたります。
なぜ給与所得控除があるのかというと、会社員やパート勤務の人は個人事業主のように自分で経費を計上するということができないからです。
自分で経費を計上できないと個人事業主の人に比べて不公平感が出てしまいますよね。
そこで『これくらいの収入の人ならこれくらいの経費を使うんじゃないかな?』と税法によってあらかじめ決められた金額(最低でも65万円)が年収から自動的に差し引かれているのです。
自分で差し引いているわけではないので、もしかしたら給与所得控除があるというのも知らなかった人もいるかもしれませんね。
控除という名前がついていますが、基礎控除や配偶者控除などの所得控除とは種類が違うものとなります。
このあたりはとてもややこしいですが、
- 給与所得控除=経費
と覚えておいてください。
控除とは
控除とは『ある金額から一定の金額を差し引くこと』を意味し、所得から差し引かれる控除のことを所得控除といいます。
例えば代表的な所得控除として医療控除があります。
病気になってしまい医療費がたくさんかかった人は、病気をそれほどしなかった人に比べて働く時間が短かくなり、もらえるお給料も少なくなりますよね。
その両者が支払う所得税が同じとなると、病気にかかって働けなかった人にとってはたいへん不公平です。
そこで確定申告で医療費控除を申告して税金の還付を受けることで、納税者の間における不公平感をなくすというのが所得控除の定義です。
所得控除には14種類あり、年末調整されるものと確定申告で還付されるものがあります。
国税庁HPによる『所得控除』の説明はこちら
課税所得とは
売上ー経費=利益(所得)ですが、課税所得とはこの利益(所得)からさらに基礎控除などの各種所得控除を差し引いた金額です。
この課税所得に税率をかけて所得税を算出します。

最後に…
インターネットで調べているとこれらの言葉を誤って使用しているサイトをよく見かけます。
読んでいるうちに頭が混乱してきて、
「結局よく分からなかった…」
ということも。
分からない=ニガテ意識につながります。
これを機に正しい情報を得るように心がけてみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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【参考】税についての相談窓口 国税庁